mainvisual

首都圏は前年比2.2%増3.2万戸、近畿圏1.2%増1.7万戸~不動産経済研究所、2020年の新築マンション供給を予測

 不動産経済研究所はこのほど、「首都圏・近畿圏の新築マンション市場予測―2020年年間(1~12月)の供給予測―」をまとめた。

【首都圏の新築マンション市場予測】
 3万1300戸前後(2018年比15.7%減)となる2019年と比べると、2020年は2.2%増の3万2000戸となる見通しで、微増ではあるものの2年ぶりの増加となる。消費増税の影響は限定的で、年明けから順次販売が始まる大型案件の人気次第では供給戸数がさらに上乗せされる可能性もある。
 供給予測のエリア別の内訳は、東京都区部1万4000戸(2019年見込み比1.4%増)、東京都下3000戸(同15.4%増)、神奈川県7500戸(同7.1%増)、埼玉県4000戸(同13.0%減)、千葉県3500戸(同6.1%増)と、埼玉県以外のエリアが軒並み増加となる見込み。
 2019年1~11月の平均価格は、2018年比2.3%上昇の6006万円と、郊外でも立地を厳選していることもあって6000万円台にアップしている。2020年も供給の主力は駅近物件という傾向は変わらず、価格が大きく変動することはなさそうだ。商品特性のテーマでは、引き続き子育て支援などに関心が集まる。また、ハザードマップで浸水被害が想定されるような河川沿いの物件では、防災強化が急務となっている。
 なお、2019年年間の供給戸数は、東京都区部1万3800戸、東京都下2600戸、神奈川県7000戸、埼玉県4600戸、千葉3300戸の合計3万1300戸程度を見込んでいる。埼玉県が前年比7.1%増と伸ばす一方、その他のエリアはいずれも減少となり、中でも千葉県が同34.0%減、東京都都下も同29.1%減と大きく落ち込む。その一方で着工は増加しており、1~10月の着工戸数は前年同期比17.9%増の5万1628戸となっている。エリア別では東京都3万2166戸(前年同期比23.1%増)、神奈川県1万1195戸(同12.1%増)、埼玉県3521戸(同26.5%減)、千葉県4746戸(同65.4%減)と、埼玉県以外の都県が増加となっている。
 また、在庫は2019年11月末現在で前年同月比11.5%増の7525戸と増加しており、年末には再び9000戸台にまで急増する可能性がある。
今後の首都圏マンション市場は、都心の高級物件や湾岸部の大型案件の人気が根強く、また高輪ゲートウェイ駅の2020年3月暫定開業によってその周辺エリアへの注目が一層高まることになる。その一方、都内を中心に多くの物件が東京五輪開催期間中から8月中旬まで長期間モデルルームを休業することになりそうで、秋商戦の始動が遅れるなど販売に大きな影響が出る可能性がある。

【近畿圏の新築マンション市場予測】
 2020年の年間発売戸数は2019年からほぼ横ばい(1.2%増)の1万7000戸程度になる見通し。2019年は前年比19.8%減の1万6800戸前後となる見込みである。価格上昇と消費増税の影響により、当初予測の2万戸よりも下振れした。契約率は5月と11月には6割台に落ち込み、若干の減速はみられるものの、年間では10年連続で70%を上回る見込み。需要は引き続き堅調といえる1年であった。
 2020年の供給については、一部の地域では引き続きホテル建設との競合がみられるものの、大阪市部の超高層物件は2019年からの発売後ろずれ物件がプラスされ、大量供給の見込み。ただし、大阪市部全体では物件の小型化により減少が予想される。また、京都市部は外周部で中規模物件が活発化、神戸市部、兵庫県下では物件の中・大規模化により、供給増が見込まれる。
 供給予測のエリア別の内訳は、大阪市部7700戸(2019年見込み比7.5%減)、大阪府下3400戸(同8.8%減)、神戸市部1900戸(同26.7%増)、兵庫県下1700戸(同6.3%増)、京都市部1300戸(同54.8%増)、京都府下100戸(同233.3%増)、奈良県300戸(同172.7%増)、滋賀県450戸(同26.2%減)、和歌山県150戸(同150.0%増)。
 在庫は2019年11月末で前年同月比17.9%減の2174戸と、いまだ低い水準を維持。今後は価格高騰による積上がりも懸念される。
 建築コスト、マンション用地の価格は上昇が継続しており、さらに大阪・関西万博、IR構想によりマンション価格の先高感は一層強まると見込まれ、需要の落込みが懸念される。

〔URL〕https://www.fudousankeizai.co.jp/mansion
【問合先】企画調査部03―3225―5301