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令和2年 年頭所感

一般社団法人 全国住宅産業協会

会長 馬 場 研 治


 令和という新時代が幕を開けて初の新年を迎え、心新たにご挨拶を申し上げます。
 昨年は、日本の各地で強風と集中豪雨による甚大な被害に見舞われました。被災された多くの方々には、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。近年頻発する様々な自然災害に直面するたびに、我が国が「災害列島」であることを強く印象付けられます。国民の生活に直結する住宅に関わる事業者として、これまで以上に立地の適正に配慮するとともに、強度や性能面に瑕疵のない住宅を供給することの重要性を痛感しているところです。
 ところで、我が国の経済は、米中関係や日韓問題など、もはや慢性的となって解決への道筋が容易には見通しにくい地政学リスクに加え、消費税引上げ後の弱含みの消費者マインド、将来の社会保障への不安などの要因から依然として個人の消費が伸び悩んでいるなど、景気回復を実感できる状況にはありません。
 住宅・不動産市場においては、建設コストの高止まりと事業用地の取得難から新築住宅の価格は年々上昇し、一次取得者の購入能力とは大きな乖離が生じています。消費税率の引上げに対して多くの支援策が施されたものの、本年3月には次世代住宅ポイント制度が期限を迎え、住宅取得資金に係る贈与税の非課税措置は段階的に減額されます。さらに12月には住宅ローン減税の控除期間の3年延長措置が期限を迎えることになります。今後とも市場の動向には目を離すことなく、状況に応じては的確な対応がなされることが必要であると考えております。
 令和2年度の税制改正大綱では、新築住宅に係る固定資産税の減額措置の延長、買取再販で扱われる住宅の取得に係る登録免許税の特例措置の延長、既存住宅の耐震・バリアフリー・省エネ・長期優良化リフォームに係る固定資産税の延長、低未利用地の適切な利用と管理を促進するための長期譲渡所得100万円特別控除制度の創設、特定の事業用資産買換えにおける譲渡所得課税特例措置の延長など、我々が要望した多くの項目が実現することになりました。
 その一方で、これからの街づくりを含めて、我が国の住宅が国の資産形成とも直結する質の高い市場として成熟し、住宅取得を希望する幅広い国民が負担を感じることなく保有できる税体系を構築するため、住宅に課される消費税のあり方を中心とした税体系について抜本的な検討が必要であると考えております。
 また、現在およそ655万戸のマンションストックがありますが、居住者の高齢化と同時に住宅の老朽化も確実に進行しています。こうしたマンションを適切に維持・管理するためには定期的な大規模修繕が不可欠ですが、直近のマンション総合調査によれば、計画上の修繕積立金の額に対し実際の積立額が不足しているマンションが約35%にも上ります。その背景には、修繕計画に対する認識の低さや近年のコスト増など、様々な要因が考えられます。しかし、優良なストックを次世代に引き継ぐためには、入居者や管理組合に対して税制上のインセンティブを付与するなどの政策的な配慮がなされなければ、なかなか状況を改善できる糸口が見い出せません。
 さらには、将来的には必ず直面する建替えについても、区分所有者の合意形成、建替え費用の問題など多くの課題があります。マンション建替えを促進するために必要な規制の緩和やリバースモーゲージの活用、マンション建替えに関する関係法令の見直しなどについて本格的な検討が望まれます。
 近年、国民の住宅に対する意識はますます多様化の方向にあり、働き方改革の視点からも、テレワークやサテライトオフィス、コワーキングスペース、二居住拠点、シェアハウスなど、新しい価値観に対応していく必要があります。また、大都市圏に偏ることなく、地域の独自性を発揮できる新たな魅力の創生が望まれています。
 全住協は、会員の特徴である全国区の機動力と形式にとらわれない柔軟性を活かし、国民の豊かな住生活を実現するために、全力で取り組んでまいる所存です。全国1,700社を超える会員の英知と熱意を結集し、住宅・不動産業を核とする日本経済の発展に寄与すべく、協会活動に邁進してまいります。会員並びに関係の皆様方の倍旧のご支援とご協力をお願い申し上げます。
 最後になりましたが、皆様方のますますのご発展とご健勝を祈念申し上げまして、新年のご挨拶とさせていただきます。