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全住協リーダーに聞く~協会の課題と指針 (2)四国住宅宅地経営協会 木村直樹理事長



四国住宅宅地経営協会 木村直樹理事長

 住宅・不動産業界紙2紙による特別企画「全住協リーダーに聞く~協会の課題と指針」より、全住協を構成する全国の主要団体長と主要委員会の委員長のインタビューを随時掲載いたします。今回は、四国住宅宅地経営協会(四宅協)の木村直樹理事長((株)木村建設代表取締役社長)。協会活動や地域の市場特性、課題などを聞きました。

― 協会の成立ちと特色は
 「前身は1965年5月に設立された四国宅地経営協会である。社団法人認可を得た後、1973年9月に四国宅地経営事業協同組合を設立し、10年後の1983年6月に協会の名称を『社団法人四国住宅宅地経営協会』に変更した。正会員数19社、賛助会員数3社で構成されている。会員企業は建築の施工会社を中心に、デベロッパーや戸建て分譲住宅会社、住宅メーカー、テナント開発企業など多岐にわたっていることが特色だ」

― 協会の活動について
 「現在の活動としては年2~3回の役員会や年2回の研修会、年1回の研修旅行のほか、親睦会として忘年会を開催し、各会員の親睦を十分に図っている。会員へのサービス向上を考え、会員の企業価値を高めるための取組みを行っていく。今後の研修会では、再開発が進んでいる高松市の商店街の理事長に講演してもらうことを考えている。高松市の駅周辺や中心市街地の現状、再開発による商店街の進むべき方向性などについて話してもらい、中心市街地の中でどのようなことができるのか、また郊外部でどのようなことができるかを検討し、会員企業の事業に役立つ情報提供を行っていきたい」

― 四国エリアの市場について
 「2020年の公示地価では、香川県は商業地が29年ぶりに上昇に転じ、住宅地も下げ止まりとなった。高松市は住宅地・商業地共に3年連続で上昇。再開発による賑わい創出への期待感や、インバウンドの増加によるホテル需要等が土地需要を高めてきた。高知市は商業地が0.2%上がり、29年ぶりに上昇に転じた。図書館複合施設が人を呼び込み、来館者がさらに近隣の中心商店街である帯屋町を訪れるなど賑わいを見せてきた。松山市の商業地は3年連続で上昇し、住宅地は下げ止まって横ばいになり、商業地でも上昇率が高い伊予鉄・松山市駅周辺の花園町では交流広場などの整備が計画され、複数のホテルが開業を予定している。徳島市は住宅地、商業地共に上昇率が拡大した。香川県ではJR四国が一等地と呼ぶ土地がある。高松駅に隣接する約2500m2の空き地があり、JR四国はそこに陸の玄関口にふさわしい駅ビルを開発しようと、3月1日付けで高松駅ビル準備室を設置した」

― 住宅供給の課題について
 「住宅の供給面では、少子高齢化と人口減少が課題であり、香川県は1999年の103万人がピークで、現在は減少に転じ、2014年は98万人、2040年は77万人に減少する予測となっている。人口減少とともに、人口も都市部への集中が進んできている。農村部や島しょ部では、過疎化が一層深刻化している。日常生活に欠かせない基本的な機能(町機能)が喪失し、高齢者が孤立することなどが危惧されるとともに、都市中心部においても、空洞化の進行が懸念されている。また、高松市では、開発指導要綱及び開発指導技術基準の改正が今年7月27日から施行されるため、今後郊外の戸建て分譲住宅の開発スピードが鈍ることが予想される」

― 行政との連携は
 「まず、行政が何を考え、街づくりをどのような方向に進めようと考えているのか、十分に理解した上で、私たちが顧客に対して何ができるのか、顧客が何を望んでいるのかを理解して、顧客のニーズを行政に伝えていくことが大切だと考えている」

― 今後の抱負について
 「各会員企業はデベロッパー、ゼネコン、分譲住宅会社、戸建て住宅建設会社など、各社で特徴があり、エリアに関してもそれぞれ地域特性がある。様々な立場、あらゆる角度で市場ニーズを把握し、戦略の立案や行動、チェック、反省を繰り返しながら、意見交換を行っていく。新しい不動産ビジネスの構築を目指して、当協会の発展、成長、会員企業の価値の向上と地域経済の活性化に貢献できる活動を行っていきたい」