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全住協リーダーに聞く~協会の課題と指針 (5)中高層委員会 宮内宗頼委員長



中高層委員会 宮内宗頼委員長

 住宅・不動産業界紙2紙による特別企画「全住協リーダーに聞く~協会の課題と指針」より、全住協を構成する全国の主要団体長と主要委員会の委員長のインタビューを随時掲載いたします。今回は、中高層委員会の宮内宗頼委員長((株)サジェスト代表取締役社長)。市場動向や運営方針などを聞きました。

― 中高層委員会の活動内容について
 「組織としては、委員会があり、その下に2つの小委員会を設置している。委員会では、主に市場環境の動向やデータに基づく検証などに重点を置いた活動だ。より具体的な商品企画などは第1小委員会(マンション分譲研究部会)で研究している。そこでは、各社が、自社の商品企画をプレゼンテーションし、情報を共有する。そして第2小委員会(経営者懇談会)では、経営者が集まり近況報告などをする場となっている」
 「特徴的なのは第1小委員会の活動だろう。参加メンバーは現場の若手社員に限定し、経営層は参加不可としている。毎回、各社が現在進行中のプロジェクト企画を持ち寄り、今、どのようなエリアでどのような物件を供給しているのか、売行きについても情報を共有している。マンションやオフィスビル、商業施設などアセットやエリアが重ならないように、2~3人がプレゼンテーションする。他社の社員の前で説明するのは、良い経験になっているようだ。スタートしてから既に5、6年が経つが、多くの若手社員が参加してくれ、リピート率も高い」

―メンバーを若手に限定している理由は
 「経営者同士は顔を合わせる機会が多々あり、ネットワークを作りやすいが、異なる会社の現場社員が集まる機会というのは、そう多いものではない。人脈づくりの貴重な場だ。また、この小委員会に参加している社員が、将来経営層になる可能性、若しくは独立して会社を立ち上げる可能性もある。そうした立場になった時、一企業だけでは難しいが、協会活動に携わることによって得られる知見があるということを経験していれば、入会しようと思うのではないか。会員増強につながることを期待している」

―マンション事業に携わる会員が多い。新型コロナウイルスの市場への影響は
 「緊急事態宣言が解除されるまで、多くのモデルルームが閉鎖した。そういった意味では影響は大きかった。その後は『客足が戻った』という会員の声をよく聞く。今のところマンション販売においても影響は軽微だったと言えるのではないか」
 「ただ、景気悪化で個人が所得に不安を感じるようになれば、住宅購買意欲に影響を及ぼす。これから先、マンション市場にも影響が出てくるのではと懸念している。住宅産業は裾野が広い。国のバックアップを得ながら最低限の影響で乗り越えることができればいいと思う」

―今後、商品企画や消費者動向に変化は出てくるか
 「ウィズコロナ・アフターコロナという言葉があるが、一定程度、それを盛り込んだ企画の商品ラインナップになるだろう。ただ、現状と比べて極端には変わらないと考える。例えば、マンションでもワークスペース付き提案を見かけるようになったが、これも大規模ならば共用部として取り入れるだろうし、スペースが取れない中小規模ならば住戸の設計変更で対応、ということになるのではないか。また、在宅勤務の普及により都心への通勤が減ることで、郊外住宅が主流になる時代が来るという話を耳にするが、そこまでの極端な変化はないと見ている。大半の人は都心に通う形の生活スタイルで、週に2、3回は自宅勤務するといった勤務体制になるだろうが、極端な振れ方はしないと思う。そのような働き方は、コロナ収束とは関係なく進む
だろう」

―今後の活動方針は
 「全住協全体としての方向性になるが、我々住宅・不動産業界は法令や税制とかなり密着した関係にあるので、一定の政策提言をしていくことは必要だ。1社でも多くの会社に入会してもらうことで、それが関係各所に声として届き、話し合いの場につながっていく。そうした必要性や魅力を、各委員会、委員長からどれだけ発信できるかが、今後は一層問われるようになるだろう。そのためにも若手が魅力的に感じる協会活動をどうつくれるか。次世代を意識した活動をこれからもやっていきたい」