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全住協リーダーに聞く~協会の課題と指針 (6)近畿住宅産業協会 湖中明憲理事長



近畿住宅産業協会 湖中明憲理事長

 住宅・不動産業界紙2紙による特別企画「全住協リーダーに聞く~協会の課題と指針」より、全住協を構成する全国の主要団体長と主要委員会の委員長のインタビューを随時掲載いたします。今回は、近畿住宅産業協会(近住協)の湖中明憲理事長(昭和住宅(株)会長)。市場動向や運営方針などを聞きました。

―近住協の成り立ちについて
 「1965年に日本分譲住宅協会の関西支部として6社で発足し、名称変更や組織合併を経て、昨年4月に近住協を立ち上げた。2府5県に主な拠点を置く住宅・不動産関連企業で構成する。会員数は準会員と賛助会員を含め66社となっている」

―関西圏の住宅・不動産市場をどうみる
 「緊急事態宣言の影響で4、5月に販売実績が落ち込んだが、6月以降は正常に戻りつつある。9月以降は戸建住宅、マンション共に売行きが良いが、販売は戸建住宅が優勢のようだ。一方、新型コロナウイルス感染症の影響が拡がる前に比べて土地の価格が2割程度上がり、仕入れには苦労している。市街地中心部のマンション用地は予想外に値下がりしていない」

―コロナ禍で住宅需要の質が変わったという見方がある
 「当社(昭和住宅)は兵庫県加古川市に本社を置いているが大きな変化は感じていない。相変わらず販売のメインは駅近物件だ。郊外の広い家が人気だと報道などで見聞きするが、実際にはそれほどでもない。ただコロナの影響で共稼ぎ夫婦の購入者などからキャンセルが入った時期はあった。景気の先行きを不安視し、高額な住宅を敬遠する向きも一部にあったようだ」
 
―住宅の価格相場はどうか
 「より安価な住宅が人気になっていると感じる。パワービルダーほどではないが、当社も従来比で坪当たり10万円程度値を下げた住宅を開発している」

―最近の協会活動について
 「会員に交流と情報交換の機会を提供することが主な活動だ。コロナの影響もあり、会員が集まる頻度は下がったが、2か月に1回程度会合を開いている。さらに会員企業の支店長や課長など実務者層を中心とした『月乃会』も2009年から活動している。会員同士だけでなく住宅関連の他団体とのお付き合いも重視している」

―今後はどう展開していくのか
 「協会発足から約1年8か月が経過するが、今は組織の基盤を固める時期だと考えている。これから会員数を増やし、委員会活動を展開したい。経営者の高齢化と後継者不足が大きな課題になっており、会社を売却するケースも増えている。M&A(企業の合併・買収)などを通じた事業承継を後押しするための小委員会を作る必要性を感じている。大手企業と伍していくためにも複数の会社で力を合わせることが避けられないように思う。」

―会員増強にはどう取り組む
 「協会の規模は小さいが、その分小回りが利く。そうした強みを活かし、会員企業を対象とする研修に力を入れたい。会員にはIT関連や測量など不動産の周辺業種も多い。例えば用地取得や営業手法などといった実践的な内容の座学や現場見学の機会を提供していきたい」

―行政に求めたいことは
 「民間企業の視点でみると、税制や条例などの具体化に時間がかかると感じている。自治体によって開発許認可に必要な手順や期間などが異なるケースも多い。旧来の制度を良い方向に変えるという雰囲気にもなりにくい面があるようだ」

―近住協の理事長としての抱負を
 「大阪では2025年に万博が開かれ、同じ年にJR大阪駅北側の『うめきた2期(北街区)』が完成する。大阪に活気が生まれれば周辺の他府県にも波及していくと予想される。京都は千年の都であり、コロナの感染が収まれば観光需要が必ず戻ってくる。一方で大阪は商業、神戸は港湾都市などとそれぞれに特色がある。大阪を起点とする良い流れに乗って、会員間や他団体との交流を活発にしながら住宅産業を活気付けていきたい。」