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全住協リーダーに聞く~協会の課題と指針 (9)富山県住宅宅地協会 髙野二朗理事長



富山県住宅宅地協会 髙野二朗理事長

 住宅・不動産業界紙2紙による特別企画「全住協リーダーに聞く~協会の課題と指針」より、全住協を構成する全国の主要団体長と主要委員会の委員長のインタビューを随時掲載いたします。今回は、富山県住宅宅地協会(富山県宅協)髙野二朗理事長(タカノホーム(株)代表取締役社長)。市場動向や運営方針などを聞きました。

―協会の成り立ちと特色について
 「北陸住宅宅地経営協会に加入していた富山県内会員企業を中心に、1994年に分離独立して社団法人富山県住宅宅地協会として発足した。設立時の会員数は31社で、ディベロッパーや木造住宅会社が主だったが、その後、住宅業界に関連する電力やガス、建材、広告、金融業界の企業も賛助会員として加入し今では多様な顔ぶれとなっているのが特色だ。現在は会員18社、賛助会員21社の組織構成となっている」
 「主な活動は、年に2回ほど開催している、まちづくりや地域の文化等に関する研修会と講演会及び懇親会、また年1回の富山県との行政懇談会だ。現在コロナ禍で会員数拡大に向けた活動を自粛している状況にあるが、富山県は地元ビルダーのシェアが高い地域であり、各種情報共有と優良な住宅宅地供給のためにも、新規会員の増強に今後も取り組んでいきたいと考えている」

―富山県内の不動産市況は
 「北陸新幹線(東京・金沢間)が開業したことにより、富山駅や新高岡駅周辺における市街地再開発事業によるホテルや分譲マンション建設が増加。高層の高額な物件から順調に売れている。近年の公示価格の動きは、上昇は富山市のJR富山駅前周辺地区に限定され、その他市町村の住宅地については下げ止まりか、若干の下落傾向が続いている」
 「富山県は従来から製造業や医薬品関連業が盛んな地域で、共働き家族も多く、1世帯当たりの収入が高い。しかも土地も廉価で若い世代の住宅購入も多いため、持ち家比率が全国的に見て高い点が特長だ。しかし、少子高齢化の影響も出始め、一時期は活況を呈していた大型の宅地造成も一服し、住宅着工戸数もここ数年は弱含み傾向が続いている。特に昨年は貸家、分譲住宅の減少が顕著だった。また、空き家が増加傾向にあることも今後の課題であり、官民連携した早期の対策が必要となっている」
 
―新型コロナウイルスの住宅・不動産市場への影響をどう見ているか
 「感染拡大初期に起こった部材供給の遅延は落ち着き、現在は総合住宅展示場や完成見学会などのコロナ禍における集客減少の長期化が課題となっている。一方、顧客購買動向の変化として、インターネットを使って業者特性を比較検討した後に、資料請求や来場予約をする顧客が昨年春以降急増している。こうした流入顧客に対する契約率向上が今後の会員企業の課題となっている。また、住宅不動産業界もテレワークを始めとした新しい働き方と生産性の向上、DX(デジタルトランスフォーメーション)化への変化に対応できる組織と人材育成の進展が、これからますます必要となっていくだろう」
 「今後、さらにコロナ収束までの期間が長期化すれば、住宅市場にもかなりの影響が出るものと予測される。住宅ローン減税の延長やグリーン住宅ポイント制度といった活用促進はもとより、さらなる国の支援策が必要となるのではないか」

―行政との連携や協会活動の方向性をどう考えるか
 「昨年5月に新理事長として就任した。今まで当協会は富山県担当部局との連携を図るため、毎年様々な要望や課題に対する意見交換会を行ってきた。今後は行政のみならず、大学、専門学校、企業等住宅産業に関連する幅広い方々との連携を図り、住宅施策の様々な課題を解決する方法を模索していくことも必要であると考えている。これから先の持続可能な社会を創る上で、時代に適応した優良な住環境の開発を各会員企業が推進し、新しい時代に選ばれる地方都市『住みよさ日本一の富山』の確立を目指してさらなる協会活動の充実を進めていきたい」