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全国全用途平均で2年ぶり上昇、昨年から回復傾向~国交省、令和4年地価公示、コロナの影響が徐々に緩和

 国土交通省は、「令和4年地価公示」をまとめた。昭和45年の調査開始以来、今回で53回目を迎えた地価公示は、全国2万6000地点を対象に実施し、令和4年1月1日時点の地価動向として、次のような結果が得られた。

【全国の地価動向】
(1)地価動向
◇全国平均=「全用途平均」「住宅地」「商業地」のいずれも2年ぶりに上昇に転じた。

◇三大都市圏=「全用途平均」「住宅地」は東京圏、大阪圏、名古屋圏のいずれも2年ぶりに上昇に転じた。「商業地」は東京圏、名古屋圏は上昇に、大阪圏は横ばいに転じた。

◇地方圏=「全用途平均」「住宅地」「商業地」のいずれも2年ぶりに上昇に転じた。地方四市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)では「全用途平均」「住宅地」「商業地」のいずれも上昇を継続し上昇率が拡大した。地方四市を除くその他の地域では「全用途平均」「住宅地」「商業地」のいずれも下落が継続しているが下落率は縮小した。

(2)特徴=令和4年地価公示は、新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に緩和される中で、全体的に昨年からは回復傾向が見られる。
◇住宅地=①景況感の改善を背景に、低金利環境の継続、住宅取得支援施策等による下支えの効果もあり、住宅需要は回復し、地価は上昇に転じた。②都市中心部の希少性が高い住宅地や交通利便性等に優れた住宅地では上昇が継続しており、生活スタイルの変化による需要者のニーズの多様化などにより、その周辺部にも上昇範囲が拡大している。③地方四市は上昇率が拡大し、その周辺部にも波及している。また、地方圏の主要都市では、下落から上昇、下落率の縮小が見られた。

◇商業地=①都心近郊部において、景況感の改善により、店舗やマンション用地に対する需要が高まり、上昇に転じた地点が多く見られる。②駅徒歩圏内の繁華性のある商業地や地方圏の路線商業地など、日常生活に必要な店舗等の需要を対象とする地域では上昇地点が増加している。また、再開発事業等の進展期待がある地域では上昇地点が見られる。③国内外の来訪者が回復していない地域や飲食店舗等が集積する地域では、下落が継続している地域がある。また、都心中心部の一部の地域において、オフィス需要に弱い動きが見られ、下落している地域がある。

【都道府県別地価変動率(住宅地)】
◇変動率プラスの都道府県の数=8(令和3年)→20(令和4年)。今回プラスの20都道府県:北海道、宮城県、山形県、福島県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、石川県、愛知県、京都府、大阪府、広島県、山口県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、沖縄県。

◇変動率マイナスの都道府県の数=38(令和3年)→27(令和4年)。

【都道府県別地価変動率(商業地)】
◇変動率プラスの都道府県の数=7(令和3年)→15(令和4年)。今回プラスの15都道府県:北海道、宮城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、京都府、岡山県、広島県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、沖縄県。

◇変動率マイナスの都道府県の数=39(令和3年)→29(令和4年)。

 地価公示とは、地価公示法に基づき、都市計画区域等における標準地の毎年1月1日時点の正常価格を国土交通省土地鑑定委員会が判定・公示するもの。公示価格は、一般の土地の取引価格に対して指標を与えるとともに、公共事業用地の取得価格の算定等の規準とされている。地方圏は、三大都市圏(東京圏、大阪圏、名古屋圏)以外の市区町村の区域。三大都市圏は、首都圏整備法等に基づく政策区域に応じて、全国の市区町村の区域を区分したもの。
〔URL〕https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo04_hh_000001_00017.html
【問合先】不動産・建設産業局 地価調査課 地価公示室03―5253―8111内線30366、30353