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全国の地価動向は全用途平均で2年連続上昇~国交省、令和5年地価公示、コロナ前への回復傾向が顕著

 国土交通省は、「令和5年地価公示」をまとめた。全国2万6000地点を対象に、令和5年1月1日時点の価格を調査した結果、1年間の地価動向として、次のような結果が得られた。
【全国の地価動向】
1.地価動向
◇全国平均=「全用途平均」「住宅地」「商業地」のいずれも2年連続上昇し、上昇率が拡大した。◇三大都市圏=「全用途平均」「住宅地」は東京圏、大阪圏、名古屋圏のいずれも2年連続上昇し、上昇率が拡大した。「商業地」は東京圏、名古屋圏で2年連続上昇し、上昇率が拡大するとともに、大阪圏では3年ぶりに上昇に転じた。◇地方圏=「全用途平均」「住宅地」「商業地」のいずれも2年連続上昇し、上昇率が拡大した。地方四市(札幌市・仙台市・広島市・福岡市)では「全用途平均」「住宅地」「商業地」のいずれも10年連続上昇し、上昇率が拡大した。地方四市を除くその他の地域では「全用途平均」「商業地」は3年ぶり、「住宅地」は28年ぶりに上昇に転じた。

2.特徴=新型コロナウイルス感染症の影響で弱含んでいた地価は、ウィズコロナの下で、景気が緩やかに持ち直している中、地域や用途などにより差があるものの、都市部を中心に上昇が継続するとともに、地方部においても上昇範囲が広がるなど、コロナ前への回復傾向が顕著となった。
◇住宅地=(1)都市中心部や生活利便性に優れた地域では、低金利環境の継続、住宅取得支援施策等による需要の下支え効果もあり、住宅需要は堅調であり、地価上昇が継続している。(2)生活スタイルの変化による需要者のニーズの多様化により、郊外部にも上昇範囲が拡大している。(3)地方四市は上昇率が拡大しており、また、四市の中心部の地価上昇に伴い需要が波及した周辺の市町では、高い上昇率を見せている。

◇商業地=(1)都市部を中心に、店舗需要は回復傾向にあり、また、堅調なオフィス需要やマンション用地需要等から地価の回復傾向がより進んでいる。(2)三大都市圏や地方四市等の再開発事業等が進展している地域では、利便性・繁華性向上への期待感から地価上昇が継続している。(3)国内来訪客が戻りつつある観光地や、人流が回復しつつある繁華街では、店舗等の需要の回復が見られており、多くの地域で地価は回復傾向にある。

【都道府県別地価変動率(住宅地)】
◇変動率プラスの都道府県の数=20(令和4年)→24(令和5年)。今回プラスの24都道府県:北海道、岩手県、宮城県、山形県、福島県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、石川県、長野県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、岡山県、広島県、山口県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、沖縄県。※下線は前年の下落から上昇に転じた県。
◇変動率マイナスの都道府県の数=27(令和4年)→22(令和5年)。

【都道府県別地価変動率(商業地)】
◇変動率プラスの都道府県の数=15(令和4年)→23(令和5年)。今回プラスの23都道府県:北海道、宮城県、福島県、茨城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、石川県、愛知県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、岡山県、広島県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、沖縄県。※下線は前年の下落から上昇に転じた府県。
◇変動率マイナスの都道府県の数=29(令和4年)→23(令和5年)。

 地価公示とは、地価公示法に基づき、都市計画区域等における標準的な地点の毎年1月1日時点の1m2当たりの正常な価格を国土交通省土地鑑定委員会が判定・公示するもの。公示価格は、一般の土地の取引価格に対して指標を与えるとともに、公共事業用地の取得価格の算定等の規準とされている。地方圏は、三大都市圏(東京圏、大阪圏、名古屋圏)以外の市区町村の区域。三大都市圏は、首都圏整備法等に基づく政策区域に応じて、全国の市区町村の区域を区分したもの。
〔URL〕https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo04_hh_000001_00029.html
【問合先】不動産・建設産業局 地価調査課 地価公示室03―5253―8111内線30367、30353