mainvisual

第52回全国大会を名古屋で開催 -全国から約600人が集結-

 当協会は、去る11月9日に名古屋市の名古屋マリオットアソシアホテルにて第52回全国大会を開催した。この大会は、当協会に加盟する全国17団体の会員と企業会員、賛助会員などが一堂に会し、税制改正要望の実現や住宅金融支援機構融資制度の改善などを目指し開催している。今回の大会は、東海住宅産業協会(以下「東住協」)が幹事協会となり全国大会のほか、記念講演、懇親会、懇親ゴルフ大会、エクスカーション(観光旅行)などを行った。
 当日は、馬場会長挨拶の後、豊嶋国土交通省住宅局住宅総合整備課長、林愛知県副知事、河村名古屋市長、毛利住宅金融支援機構理事長等から祝辞をいただいた。(馬場会長の挨拶(抜粋)は下記に掲載。)
 次いで、花沢副会長が最近の住宅・不動産業界の諸課題を踏まえて政策提言を行い、これを受けて大会スローガン(2ページに掲載)を盛り込んだ大会決議を東住協南副理事長が読み上げ満場一致で採択した。
 また、引き続き、叙勲・褒章等表彰受章者に対する記念品贈呈が行われた。

[馬場会長挨拶(抜粋)]
 第52回全国大会の開催に当たり、一言ご挨拶を申し上げます。本日は全国からお集まりいただきました会員の皆様はもとより、公務ご多用中にもかかわらず国土交通省、愛知県、名古屋市を始め関係諸機関、友好団体などから多数ご臨席を賜りました。厚く御礼申し上げます。また、設営に際しご尽力をいただきました関係各位に心から感謝を申し上げます。
 振り返ってみますと、「一般社団法人全国住宅産業協会」という形に姿を変えてから初めての全国大会はちょうど10年前のこの場所、第46回名古屋大会でした。今回で5回目のホスト協会を務めます東海住宅産業協会は1963年に設立された東海地区宅地造成協会が前身です。戦後の人口や世帯の爆発的な増加と伊勢湾台風による甚大な災禍が重なり、当時の旺盛な復興需要に応えるために宅地開発と戸建住宅の供給を事業の柱として設立され、その後、1977年には東海住宅宅地経営協会に名称を変更し、そして2013年に全住協の誕生と歩調を合わせ、東海住宅産業協会へと再度名称を変更して今日に至っております。設立以来60年という記念すべき還暦の節目を迎えているところであります。この間、不動産事業を取り巻く環境は度重なる激しいうねりの連続であり、幾多の困難を乗り越えて来られたのは、会員企業とそれを支える賛助会員の方々の不屈の闘志と叡智を結集した賜物です。本日ご参加いただいております皆様方の健闘を称えるとともに協会活動にご理解いただき、格別のご指導・ご協力をお寄せいただいております関係機関全ての皆様方に改めて心から感謝申し上げます。
 さて、世界中を震撼させた感染症はようやく完全収束の気配ですが、パンデミックは目覚まし時計で、行き詰まった社会構造を一気に軌道修正させるための神の啓示であるととらえる向きもあります。繁栄の先には活力なき福祉国家が待ち構えている。コストの増大がインフレを招き、エゴイズム、悪平等、道徳観念の欠如を蔓延させる。こうした悪循環が普遍的な運命没落の法則であると指摘する学者の警鐘が心に残ります。歴史に学び、我が国の将来がそうでないことを願うばかりであります。
 今、最大の懸念材料であります少子高齢化については、どの水準で着地をさせ、どのような世界を目指すのかが問われています。直近の人口動態統計を見ると、出産ができる年齢で結婚したカップルには平均して2人の子供が誕生していますが、合計特殊出生率は1.26まで低下しています。つまり、少子化の最大の要因は子育てに対する不安というよりも未婚率・晩婚化でほぼ説明がつきます。また、女性の生涯未婚率と持ち家の比率の間には明確な相関関係が成立していることから、人口安定社会を目指す第一歩は、若年層の安定した収入の確保と適切な住宅政策に尽きると思います。島根県では2010年からふるさと回帰を促す働く場の確保と補助金などによる住宅取得支援策を推進した結果、出生率は2.0に近い目標値に到達し、対策後の増加率についても抜きん出ています。一方で、大都市エリアでは圧倒的に未婚率が高く、都心では手が届きにくくなった住宅事情が、適齢期の若者にとって結婚を踏み切る障害になっている蓋然性が極めて高いと言わざるを得ません。また、令和2年の国勢調査によりますと、高齢者世帯の急増もあり、1世帯当たりの構成人数は2.21人まで下がっていました。多様な生活形態に見合うコンパクトな住居の提供によって、取得可能な選択肢を広げる必要があります。当協会はここ数年にわたって、住宅ローン減税制度における面積要件の緩和を強く要望を続けてきました。実需としての消費者目線で住まい方を考え、次年度の税制要望でもこの点を最重要項目として活動を続けていく方針であります。
 もう1つ、成長期の概念を引きずったままの都市計画に関して、地域によっては計画的撤退や無秩序に拡大した都市のダウンサイズ、災害リスクの高い土地への立地規制、環境負荷の改善が見込めない住居の除却など負の遺産を取り除く一方で、国土の有効利用を前提に、生産性の高い農林水産業の改革、半導体などに限らず先進的なものづくりの拠点となる様々な産業誘致などで地方の活性化を図っていくことが必要です。30年以上も停滞し続けた日本経済の実態から抜け出すためには、小手先の手直しではなく大胆な破壊と創造が解決の糸口であることを提唱し続けます。
 業界を取り巻く環境は楽観を許さない状況にありますが、会員各位にはそれぞれの個性を活かし、さらなる発展を目指して引き続きご尽力をお願いするとともに、ご来賓の皆様におかれましては長期的な支援など、より建設的で合理的な策が示されますことをお願い申し上げます。
 結びに、今日ご参会の全ての皆様方のご健勝とご繁栄を心よりお祈り申し上げまして、挨拶とさせていただきます。改めまして、多数のご参加をいただき本当にありがとうございます。

[大会スローガン]
一、 消費税を含めた住宅・土地税制についての抜本的な見直し
一、 住宅ローン減税の面積要件緩和措置の継続等住宅税制の拡充
一、 フラット35融資制度の拡充、運用の一層の改善
一、 耐震性の向上や安全な住宅地への立地の誘導等災害予防策の強力な実施
一、 住宅省エネの理解の増進と強力な支援策の実施

 大会終了後、「日本経済のゆくえと金利動向」と題して記念講演を開催。高橋洋一氏(嘉悦大学教授)が講演を行った。その後開かれた懇親会では、全国各協会の会員、多数の来賓が参加し懇親を深めた。
 当日の参加者は、約600名。