第54回全国大会を札幌で開催-全国から約550人が集結-
当協会は、去る10月9日に札幌市の札幌パークホテルにて第54回全国大会を開催した。この大会は、当協会に加盟する全国17団体の会員と企業会員、賛助会員などが一堂に会し、税制改正要望の実現や住宅金融支援機構融資制度の改善などを目指し開催している。今回の大会は、北海道住宅都市開発協会(以下「北住都」)が幹事協会となり全国大会のほか、記念講演、懇親会、懇親ゴルフ大会、エクスカーション(観光旅行)などを行った。
当日は、肥田会長、開催地協会である北住都高山理事長の挨拶に続き、勝又国土交通省住宅総合整備課長、加納北海道副知事(代理)、加藤札幌副市長(代理)、毛利住宅金融支援機構理事長から祝辞をいただいた。(肥田会長、高山理事長の挨拶(抜粋)は下記に掲載。)
次いで、馬場代表理事が最近の住宅・不動産業界の諸課題を踏まえて政策提言を行い、これを受けて大会スローガン(3ページに掲載)を盛り込んだ大会決議を北住都 前川副理事長が読み上げ満場一致で採択した。
また、引き続き、褒章・国土交通大臣表彰受章者に対する記念品贈呈が行われた。
[肥田会長挨拶(抜粋)]
本日、全国から多くのご来賓と会員の皆様を札幌市にお迎えし、第54回全国大会を盛大に開催できますことを、誠に喜ばしく思います。ご多忙のなかご臨席いただいた国土交通省、北海道、札幌市を始め、関係機関・友好団体の皆様に心より御礼申し上げます。
我が国経済は緩やかな回復基調にあるものの、物価上昇が賃金の伸びを上回り、家計の実情は依然厳しい状況にあります。不動産業界においても、大都市圏では住宅価格が高騰し、平均的な勤労者世帯が自らの住まいを持つことが困難な状況が続いています。一方で、土地の確保が難しく、エネルギーや資材価格の高騰、人件費の高止まりなど、事業環境も厳しさを増しています。
住宅産業は国民生活の安定と経済成長を支える基幹産業です。国民の大多数を占める中間所得層の住宅取得を支援するためには、年末に期限を迎える住宅ローン減税の延長・拡充など、公的支援の一層の充実が不可欠です。我々事業者としても、技術と知見を最大限に活かし、持続可能な住宅供給に努めてまいります。
最後に、本大会の運営に多大なご尽力をいただいた北海道住宅都市開発協会の役員・会員の皆様に厚く御礼申し上げるとともに、ご来賓・会員各位のご健勝とご発展を祈念し、挨拶といたします。
[北住都 高山理事長挨拶(抜粋)]
皆様ようこそ、遠くはるばる北海道・札幌にお越しいただき、心より感謝申し上げます。
今回の札幌大会は、10年ぶりの開催となります。「10年ひと昔」と申しますが、この間に福岡などは大きく変化しました。それに比べますと、札幌は少し遅れているようにも感じます。しかしながら、現在は再開発が各所で進み、今後の展望に大いに期待できる状況にあります。
このような中で、全国から皆様にお集まりいただき、この大会を開催できることは、道民である私たちにとって大変名誉なことだと感じております。誠にありがとうございます。
業界の状況につきましては、先ほど肥田会長の挨拶がございましたが、全国的に厳しい環境が続いており、土地の確保が難しく、価格も高止まりしております。札幌におきましても同様で、なかなか土地が手に入りにくい状況が続いております。今後どのように推移するかは分かりませんが、このような状況を打破するためにも、政策要望に掲げられている事項を実現していくことが最も重要だと感じております。
令和8年度の住宅・土地に関わる政策要望では、将来世代に継承する住宅ストックや、世帯構成やライフスタイルの変化に伴い、住まい方は多様化しております。このような状況において、特に、子育て世帯や若年層、中間層の住宅取得支援について、引き続きお願いしたいと考えております。
住宅産業の発展は、私たちだけでなく、国全体の資産形成に大きく貢献してきたものと考えております。今後もきめ細やかな対策を進めるためには、地方公共団体との連携を一層強化し、災害に強く、省エネでローコストな住宅の提供を真剣に進めてまいりたいと思います。
北住都としても、行政との意見交換を積極的に進めてまいります。全住協におかれましても、後方支援ということでこれらの取組みを後押しいただけますようお願い申し上げます。
記念講演では、スキージャンプの原田選手をお迎えし、長野オリンピックの凄いプレッシャーの中で見事に金メダルを獲得されたお話を伺う予定です。その挑戦の姿勢に私たちも大いに感銘を受け、今年の札幌大会でも、皆様にとって心に残る時間となることを願っております。
最後に、全国からお越しいただいた約550名の会員の皆様にとって、今回の大会が大きな思い出となりますことを祈念しております。本日は札幌にお越しいただき、誠にありがとうございます。
[政策提言(馬場代表理事/抜粋)]
税制改正に止まらずこれからの街づくりや住宅供給のあり方など、私どもの事業に直結する様々な観点から幾つかの提言をさせていただきます。南海トラフ地震の発生確率が20~90%と極めて曖昧に修正されましたが、自然災害は時と場所を選ばず突然に襲ってきます。今年も洪水・浸水による被害は90%以上がハザードマップの危険地域に集中していました。減災体制の強化は当然としても本質的には立地の適正化と一極集中の回避が強靱化への最短距離であり、安全な国土利用を加速させる必要があります。
都市も地方も野放図な開発を繰り返した結果、用途地域制度が果たすべき本来の役割が失われています。ハザードエリア内の多くの住戸や既存不適格建築物は除却や移転を促進し、美しい街並みを国家資産として公共の福祉を最優先する強い規制と誘導が不可欠です。人口動態が変化し老朽化と制度疲労が進む今こそ、都市計画を見直す好機です。
社会資本整備審議会から住生活基本計画の中間取りまとめ案が示され、人生100年時代の中、その時々のライフサイクルに適した住替えやリフォームが豊かな住生活に寄与し、既存住宅の維持管理と流通を支える評価制度等の整備が求められています。住宅は多世代にわたって住み継がれる循環型の市場形成を目指すべきです。
立地環境の保全も含めて住宅の価値が維持されること、流通の円滑化、最初の住宅取得を支援することの3点が重要です。価格高騰で実需層の住宅取得が困難となっているため、中間層の支援が急務です。
当協会は住宅税制の抜本的見直しのほか、住宅ローン減税の継続・拡充や面積要件緩和の恒久化、控除期間の延長、固定資産税等の軽減等を求めています。住宅金融支援機構には残価設定型住宅ローンなど次世代型の住宅ローンの創設に期待を寄せています。当協会では消費者が適正な価格で住宅を取得できる環境の実現に向け、政府や関係機関に働きかけてまいります。
[大会スローガン]
我々全住協は、ここに第54回全国大会を開催し、全国約1,700社の会員が結束し、住生活の安定と住宅産業の健全な発展に全力を尽くすことを誓い、下記の重点項目を政府・関係機関に強く要望する。
一、 住宅ローン減税制度等住宅取得促進のための税制や金融支援の確実な実施
一、 消費税を含めた住宅・土地税制の抜本的見直し
一、 金融環境の変化や高齢化に対応したフラット35融資制度の更なる拡充
一、 長期優良住宅等の良好な住宅ストックの形成に向けた公的支援の充実
一、 住宅ストックの性能等が市場で適正に評価されるシステムの整備
大会終了後、「逆境に打ち勝つ」と題して原田雅彦氏(雪印メグミルクスキー部アドバイザー)と和久井薫氏(フリーアナウンサー)による記念講演(トークショー)を開催した。長野オリンピックで金メダルを獲得した当時の心境やプレッシャーを乗り越えた経験についてユーモアを交えて語り、その飾らない言葉と笑顔あふれる語り口に、参加者からは大きな共感と感動の拍手が送られた。
その後開かれた懇親会では、全国各協会の会員、来賓が多数参加し懇親を深めた。
当日の参加者は、約550名。