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令和8年年頭所感

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 昨年を振り返りますと、賃上げの動きが広がりを見せた一方で、物価上昇の影響は家計や企業経営に重くのしかかり、実感としての景気回復には力強さを欠く一年でありました。加えて、金利動向への関心の高まりや先行き不透明感は、消費者心理に慎重さをもたらし、住宅取得を含む大きな意思決定に影響を与えました。また、少子高齢化や人口減少といった構造的課題が改めて意識される中で、暮らしの安心や将来への備えに対する国民の関心が一段と高まった年でもありました。一方で、既存住宅の活用や住替え需要の高まり、省エネ性能や住環境の質を重視する意識の広がりなど、住まいに対する価値観には確かな変化と前進が見られました。住宅は生活の基盤であると同時に、将来の安心を形づくる重要な資産であり、その役割が改めて見直された一年であったと受け止めております。
 住宅・不動産分野の安定と成長、そして国民の安心した住生活を支える上で、住宅税制が果たす役割は極めて重要です。住宅取得は多くの国民にとって生涯最大の選択であり、その判断を後押しする制度には、分かりやすさと継続性、そして将来への見通しが求められます。政策の方向性が見えにくい状況は、消費者の慎重姿勢を招き、市場全体の停滞につながりかねません。
 このような状況の中、昨年12月に発表された令和8年度税制改正大綱では、住宅ローン減税が5年間の枠組みとして示されたことは、国民や事業者にとって先を見通せる政策運営への一歩であると評価しております。中期的な方向性が示されたことで、消費者は安心して住宅取得を検討でき、事業者にとっても安定した事業計画を描きやすくなりました。住宅ローン減税の控除期間が新築・既存共に13年とされたことは、住宅取得後の長期にわたり家計負担の軽減効果を実感できる制度設計であり、子育て期から将来に至るまで暮らしの安心を支えるものとなっています。また、床面積要件について40m2以上とされたことは、単身世帯や共働き世帯の増加、都市部における住宅事情を踏まえた現実的な対応であり、コンパクトであっても良質な住宅が正当に評価される環境づくりにつながっています。また、新築住宅に係る固定資産税の特例措置の延長、固定資産税・不動産取得税等各種特例措置の床面積要件の緩和などが実現しました。
 これらの制度が組み合わさることで、新築・既存を問わず、良質な住宅の取得や住替えを幅広く後押しする仕組みとして機能し、その結果、住宅ストック全体の質の向上や円滑な流通が促され、地域経済の活性化や持続可能な社会の実現にも寄与する好循環が生まれつつあります。
 こうした経済状況と社会の変化、そして制度の成果を踏まえ、今後も住宅税制が国民の暮らしに安心と希望をもたらす政策として安定的に運営されるよう、引き続き提言活動に取り組んでまいります。会員各位が将来を見据え、前向きに事業に取り組める環境を整えることが、業界の発展と国民生活の向上につながるものと確信しております。
 令和8年は丙午(ひのえうま)の年です。丙午は、変化と前進の力が強く、これまでの取組みが次の段階へと進みやすい年とされます。不確実性の高い時代だからこそ、将来を見通せる環境を整え、一歩ずつ着実に前へ進むことが、業界全体の持続的な発展につながるものと考えております。
 全住協は、今年も全国約1,700社の英知と熱意を結集し、国民の豊かな住生活の実現と住宅・不動産業の発展を通じ、日本経済の成長に寄与して参りますので、会員並びに関係の皆様方の倍旧のご支援とご協力をお願い申し上げます。
最後になりましたが、皆様方のますますのご発展とご健勝を祈念申し上げまして、新年のご挨拶とさせていただきます。