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平成31年度国土交通省税制改正要望事項

 国土交通省は、「平成31年度国土交通省税制改正要望事項」を明らかにした。住宅・土地税制関連の主な内容は、以下のとおりである。

[豊かな暮らしの実現と地域の活性化]
(都市の競争力・魅力の向上と土地の有効利用の促進)

●地域福利増進事業に係る特例措置の創設(所得税・法人税・個人住民税・法人住民税・事業税・固定資産税・都市計画税)
(特例措置の内容)
(1)事業者に土地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除
【所得税・法人税等】課税標準から1,500万円を控除

(2)地域福利増進事業の用に供する土地・建物に係る固定資産税等の課税標準の特例措置
【固定資産税・都市計画税】課税標準を2/3に軽減

(要望)
 上記(1)、(2)について特例措置を創設する。
((1)については恒久措置、(2)については3年間(平成31年4月1日~平成34年3月31日))


(住まいの質の向上・無理のない負担での住宅の確保)
●消費税率引上げを踏まえた住宅取得対策
 2019年10月の消費税率引上げに伴う住宅に係る対策(既に決定済のもの)
(1)住宅ローン減税の拡充措置の継続
(控除対象借入限度額:一般住宅4,000万円、長期優良住宅・低炭素住宅5,000万円)
(2)すまい給付金の拡充(最大30万円→50万円)
(3)贈与税の非課税枠の大幅な拡充(最大限度額1,200万円→3,000万円)

(要望の概要)
 前回の消費税率引上げ時に住宅に係る駆け込み需要とその反動減が生じたことを踏まえ、2019年10月の消費税率引上げに際し需要変動の平準化に万全を期すため、住宅取得者の負担の増加等を勘案しつつ、住宅の取得について、住宅ローン減税の拡充等の税制措置及び財政措置を含めた総合的かつ十分な対策を講ずる。


●空き家の発生を抑制するための特例措置の拡充・延長(所得税・個人住民税)
(特例措置の内容)
【所得税、個人住民税】
 相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに、被相続人の居住の用に供していた家屋(昭和56年5月31日以前に建築され、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたもの)を相続した相続人が、当該家屋(耐震性のない場合は耐震リフォームをしたものに限り、その敷地を含む。)又は取壊し後の土地を譲渡した場合には、当該家屋又は土地の譲渡所得から3,000万円を特別控除する。(平成31年12月31日までの譲渡が対象)

(要望)
・本特例措置を4年間(平成32年1月1日~平成35年12月31日)延長する。
・被相続人が老人ホーム等に入居していた場合を対象に加える。
・譲渡後に家屋の除却又は耐震リフォームを行った場合を対象に加える。


●買取再販で扱われる住宅の取得等に係る特例措置の拡充・延長(不動産取得税)
(特例措置の内容)
 現行、買取再販で扱われる住宅に係る不動産取得税(事業者の取得にかかるもの)について、以下の通り減額。
【住宅部分】築年月日に応じ、一定額を減額
【敷地部分】一定の場合(※1)に、税額から一定額(※2)を減額
 ※1 対象住宅が「安心R住宅」である場合または既存住宅売買瑕疵担保責任保険に加入する場合
 ※2 150万円又は家屋の床面積の2倍(200m2を限度)に相当する土地の価格のいずれか大きい額に税率を乗じて得た額

(要望)
・現行の措置を2年間(平成31年4月1日~平成33年3月31日)延長する。
・省エネ改修について、適用要件を合理化する。
※現行の必須要件(全ての居室の全ての窓の断熱改修(全窓要件))に、住宅全体の省エネ性能(断熱等級4など)を改修により確保した場合を追加


●サービス付き高齢者向け住宅供給促進税制の延長(不動産取得税・固定資産税)
(特例措置の内容)
【固定資産税】5年間、税額を1/ 2~5/ 6の範囲内で市町村が条例で定める割合を軽減(参酌標準:2/ 3)
【不動産取得税】家屋:課税標準から1,200万円控除/戸、土地:税額から一定額(150万円又は家屋の床面積の2倍(200m2を限度)に相当する土地の価格のいずれか大きい額に税率を乗じて得た額)を軽減

(要望)
 現行の措置を2年間(平成31年4月1日~平成33年3月31日)延長する。

[成長力・国際競争力の強化]
(不動産市場の活性化)
●土地の所有権移転登記等に係る特例措置の延長(登録免許税)
(特例措置の内容)
【登録免許税】土地の所有権移転登記等に係る税率を軽減

(要望)
 現行の措置を2年間(平成31年4月1日~平成33年3月31日)延長する。


●Jリート及びSPCが取得する不動産に係る特例措置の拡充・延長(登録免許税・不動産取得税)
(特例措置の内容)
・Jリート及びSPC※が取得する不動産について、以下の措置を講じる。※資産流動化法に基づく特定目的会社
【登録免許税】移転登記に係る税率を軽減(本則2%→1.3%)
【不動産取得税】課税標準から3/ 5控除

(要望)
・現行の措置を2年間(平成31年4月1日~平成33年3月31日)延長する。
・不動産取得税の適用対象に保育所を追加する。


●不動産特定共同事業において取得される不動産に係る特例措置の拡充・延長(登録免許税・不動産取得税)
(特例措置の内容)
 不動産特定共同事業法上の特例事業者等が取得する不動産について以下の措置を講じる。
【登録免許税】税率軽減(移転登記:2%→1.3%、保存登記:0.4%→0.3%)
【不動産取得税】課税標準から1/ 2控除

(要望)
・現行の措置を2年間(平成31年4月1日~平成33年3月31日)延長するとともに、以下の要件の見直しを行う。
・特例事業者及び適格特例投資家限定事業者に係る特例措置(登録免許税、不動産取得税)の要件のうち、「対象不動産に係る工事の竣工後10年以内の譲渡」の要件の撤廃、「土地及び建物」の取得要件の見直し(借地権上の建物の追加)