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特別対談「住宅不動産産業が国民の未来を支える」

特別対談「住宅不動産産業が国民の未来を支える」
内閣総理大臣・自由民主党総裁   安 倍 晋 三
一般社団法人全国住宅産業協会会長 神 山 和 郎

万全の駆込み需要・反動減対策
神山会長 本日はご多忙の中、お話しする機会をいただき、ありがとうございます。

安倍総理 昨年総裁3期目に入り、第4次安倍改造内閣が発足しました。今年は、G20大阪サミットの議長国としての開催、参院選、ラグビーW杯など、大変重要な事柄が続きます。去る5月1日には新天皇がご即位され、初めて国書に典拠する元号である「令和」の時代となりました。国際情勢の先が見えにくい中ですが、明日への希望を持って、引き続き皆様のご支持をいただきながら、全力で諸課題に取り組んでいきたいと思っています。

神山会長 国民の一人として、大きな花が咲くよう新時代に臨んで参りたいと思います。
 ところで、秋には消費税率が10%となりますが、総理のリーダーシップにより住宅の駆込み需要・反動減対策を講じていただき感謝いたしております。

安倍総理 すまい給付金など既存の措置に加えて次世代住宅ポイントの創設、ローン減税の期間延長、贈与税の非課税枠拡大など思い切った予算上、税制上の対応を行いました。

神山会長 業界としては、これらの支援措置を大いに活用して住宅需要の平準化、景気の安定的な持続に貢献したいと考えています。

多様な住まい方の実現
神山会長 現在は人々の住まい方が非常に多様化しており、マンションを購入する場合に、例えば、広さよりも都心に近い便利な立地を求める需要が強くなっています。また、高齢者も郊外戸建住宅から駅近くのマンションに住み替えるといった現象も起きています。

安倍総理 少子高齢化が進み、また、ライフワークバランスなど仕事や家庭に対する考え方も変化しており、それに合わせ住まいのあり方や働き方を変えて行くのは当然です。
 都市の構造も拡散型の都市から都心への機能集中を進めるコンパクトシティに移行していくことが必要です。その際、交通体系の整備や無電柱化など街中の生活を支える基盤を整備することが重要です。
 住宅の作り方も、都心居住を始めとして、若者世代は働きながら子供を育てやすいように、高齢者世帯は安心して老後を送れるように工夫をしていくことが重要です。
 また、働き方改革の観点からは、働きやすい職場環境を実現できるビルの整備や管理を進めることも必要です。

急がれる所有者不明土地対策
神山会長 現在、都市では住宅用地の取得が難しくなっていますが、他方で、空き家、所有者不明土地が急激に増加しています。所有者不明土地は国土の保全管理の上でも、国民の財産の活用の上でも大変な問題だと思います。

安倍総理 おっしゃるとおりです。空き家対策については平成27年に特別措置法が施行されました。所有者不明土地については、昨年に利用円滑化等を進めるための法律を制定し、今国会には、所有者の氏名のみで住所が記載されていないなどのいわゆる「変則的登記」を解消する法律案を提出しています。
 これらに加え、相続登記の義務化などについて検討を進め、来年の国会に提出する予定です。

神山会長 土地だけではなく空き家の問題もあります。空き家の権利が相続などで複雑になりますと、建替え、処分を行う際に大変な手続が必要となります。特に、マンションの場合には、その敷地が多数者による持分の共有となっていることから、土地と建物の両方相まって大規模修繕や建替えの意思決定の足かせとなってしまいます。
 2022年末には築40年を過ぎたマンション戸数が約130万戸になるとの予測があります。民事法・不動産登記の分野、建築規制の分野など、今のうちから、先を見据えた対策の検討をお願いします。

住宅不動産は政策の宝庫
安倍総理 住宅はZEHなど省エネ化、耐震化、AIなど新技術の活用、CLT使用による国産材振興、安心R住宅やインスペクションなど既存住宅の流通促進、サ高住を始めとする高齢者対策、民泊等々幅広い分野にわたる政策の宝庫であり展示場とも言えます。また、事務所ビルは、働き方改革や経済再生を進める上で重要なインフラでもあります。
 政府与党として責任を持って、しっかりと住宅不動産政策を展開していきますので、引き続きご支援をお願いします。

神山会長 全住協は、住宅やビルの設計・開発、不動産の流通・管理、リノベーション、住宅設備、金融・保険など多岐にわたる業種の会員の集まりです。それぞれの持ち味を活かして、消費者のご要望に応えて参りたいと思います。