本プロジェクトは、京浜急行電鉄「屏風浦」を最寄り駅とする高台の社宅跡地(敷地面積約22,000㎡)の開発であります。
駅力、階段・坂アプローチという立地的なハンディーのほか、多くの法面地や古い擁壁、移管不能の私道をかかえる土地でした。そのような条件下で弊社が事業化にチャレンジしたのは、その地に立った時の「見晴らし」と「空の大きさ」は、住まいとしてかけがえのない財産になると確信し、大きな魅力であると感じたためです。
さらに事業性を高めるために、高低差のある敷地形状の特性を利用した地下緩和住戸を計画することで、土地情報取得時の基本プランからさらに約10％の住戸面積を増やすことに成功しました。これにより当初予定を上回る仕様・設備を盛り込んだ、より魅力的なつくり込みを行うことができました。
また、敷地の端にある崖下の土地を買収したことで、約15ｍの高低差をエレベーターで解消するというプランが実現し、後の販売でキャッチフレーズとなる「駅までフラットアプローチ８分」という強力な武器を手に入れることができました。

パリ・モンマルトルに建ち並ぶ貴族のアパートメントと現代のモダン建築を今回のデザインコンセプトとして、４つの街区それぞれのフォルムや意匠へきめ細やかに反映させました。
このプロジェクトの魅力を十分に引き出すために、１街区では奥行4m×横幅6.2mのオープンエアリビングバルコニーを、２街区では螺旋階段からアプローチするスカイビューテラスを、３街区では奥行3mのバルコニーを、４街区では12.4m超ワイドスパンの約50帖ルーフバルコニーを、そして全街区に開放感あるコーナーサッシを採用し、共用棟にはパノラマ眺望が臨めるラウンジをつくることで、「見晴らし」と「空の大きさ」を感じられる商品企画を行いました。
さらに、低層レジデンスの魅力をも活かすために、各街区・各棟・各階のシチュエーションに合わせたプランニングをおこない、全240戸で実に112プランものバリエーションを用意しました。具体的には２街区西側棟では採光をより得るために雁行型のバルコニーとしており、眺望が制限される二棟配列となる４街区後ろの棟の住戸前にはパティオを配し、地下緩和住戸には約20帖程のテラスを設けるなどしています。
また、１街区には奥行き10mの専用庭、２、４街区には家庭菜園付き住戸などベランダグランピングやバルコニストなど近年話題のトレンドも取り入れました。

駐車場については、１街区は100％、２、３、４街区はそれぞれ約50％としています。ご来場者は６割程度の方が車を所有しており、バランスよく収まりました。

ご来場されたお客様に最も魅力を感じていただいたのは、「丘の上なのにフラットアプローチ」というコンセプト、その独特の立地を活かした多彩な間取りプラン、次いで建物デザインでした。周辺に競合物件がいくつもある中で、これらの商品企画力をもって明確に差別化できたことは大きな成功の要因になったと考えられます。
４棟構成で順次竣工することとし、街区ごとに販売期間を分けることにより、新街区販売開始ごとにデビュー感を持たせ、それぞれ異なる特徴を打ち出せたことにより、継続的に新規集客を図ることができました。
最寄り駅である「屏風浦」は各駅停車駅であり、商業施設等の利便施設も少なく、高い知名度をもつ駅ではありません。本プロジェクトはそこに総戸数240 戸の大規模マンションとして、当時の周辺供給価格よりも高い、坪単価@193 万円で販売をスタートしました。にもかかわらず、前述したコンセプト、つくり込みにより、多数の競合物件と比較されつつも結果、お客様に選んでいただき、中広域からの集客・契約を実現し、竣工前完売をすることができました。