本物件は福岡の中心地である天神からほど近い「大橋」駅から徒歩７分の場所に位置しています。近隣には九州大学を始めとした大学・専門学校を臨むアカデミックな雰囲気と、総合病院・区役所なども存在する福岡の副都心という２つの特性を併せ持つエリアでありながら、取得時は工場跡地として周囲を壁に囲まれた閉鎖的な土地となっておりました。
開発にあたり、元々の閉塞感を打破し、副都心として動の街の雰囲気がある大橋エリアの中で、落着き・安心を感じることができる建物。またその広い敷地(2,746㎡)を活かした存在感のある建物というコンセプトを基本とし、近隣の方々にも圧迫感を与えず、安らぎを感じていただけるよう配慮することを原則として計画を進めていきました。

【外観デザイン】
全体的な色合いとしては、優しい風合いのベージュを基調としたタイルと、手摺部分の落着きのある明度を抑えたダークブラウンのガラスとの、コントラストを特徴的な配色としています。建物のフォルムとしては、安定感と重厚感のある横長の比率になっています。表情に変化を与えるために、縦に伸びるマリオン(化粧柱)や、グリッド状のデザインを用いています。低層部には深みのある色合いのレンガ調タイルを用いて、さらなる建物の安定感を生み出し、また植栽の緑との調和が落着きのある空間を演出しています。アプローチ空間も緑地を豊かに設け、建物の顔となるよう、また住まう人の心にゆとりを与える空間を創造しています。

【内部空間デザイン】
エントランスにはアクアリウムのあるラウンジスペースを設け、自然石の柔らかな表情、木目の天井、落着きのある素材と配色により静寂の空間を演出し、ここに住まう人、招き入れる方々への安らぎの空間となることを目指しました。各階へアクセスすると、各住戸へのアプローチは内部廊下(一部外部廊下)となっており、ホテルのような雰囲気のある空間を演出しました。

総戸数185戸というスケールメリット、そして間取りを使いやすいプランで統一することにより経済設計を達成し、昨今高騰している建築費を大幅に抑えることができ、収益性の高い物件とすることができました。
同時に、建築費を抑えることで、外構部に対して余裕を持って予算を配分できたことにより、緑地帯をより大きく設置することができました。その結果、隣接地の幼稚園からも「自然が増えてよかった」との評価の声をいただいております。このような評価から、近隣の方々へ安らぎを感じていただける建物というコンセプトも達成できたことを実感しています。