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ENSO ANGO ホテル

(株)グローバル・エルシード

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京都市の町家が多く残る住宅街で近接する5棟のホテルを同時に開発し、竣工後に一括して売却して利益を確保した上で、全体を借り上げホテルの運営を行っている事業。1か所では提供できないスポーツジムやレストラン、バーラウンジ、畳サロンなどを各ホテルに配し、宿泊客に様々なサービスを提供している。東京のデベロッパーが近隣からの理解を得ながら、新しい事業に果敢に挑戦した発想力と機動力は高く評価されるとともに、今後の発展性を感じさせる。

事業コンセプト

本事業は京都市下京区及び東山区において、5棟のホテルを同時に開発したプロジェクトである。コンセプトの骨子を「ディスパーストホテル」とし、歴史的遺産や日本を代表する文化を持つ都市「京都」と分散都市型ホテルである各棟を関連付け、宿泊客は各棟の共用施設を自由に利用することができ、「京都の街に暮らすように泊まる」体験を実感できる形態を目指した。
ホテルブランド名である「ENSO ANGO」の「ENSO(円相)」は、禅の書画のひとつであり、全てを抱合し無限の宇宙を示す。「ANGO(安居)」は、行脚托鉢する禅僧が共同生活を行いながら修業することを意味する。人と人、行為と出来事が無限の可能性を秘めるという意味を込めている。
共通コンセプトの基に各棟それぞれのデザイナー、アーティストを迎え、京都の街に馴染むように設けた外観を共通項とし、建物内部それぞれの空間やストーリーを演出している。
敷地購入時には可能な限り客室を多く配置し、平均稼働率への不泊リスクを回避する計画であったが、競合他物件との差別化を図るために各棟1階の共用部を充実させ、高い稼働率と施設の付加価値で客室単価を上方修正できる企画とすることで収益の最大化を狙っている。
運営はマスターリース契約を締結することで固定賃料とし、安定した利回りを確保し投資向けの商品とした。

【ENSO ANGO麩屋町通Ⅰ】
典型的な京町家スタイルの奥行きが細長い小型の狭小地で、1階に共用のラウンジ(専用の軽厨房設備付)を設け、客室平均16㎡でありながら浴室を需要の高いシャワーのみに割り切ることで、滞在空間に余裕を持たせることができた。アーティストに安藤雅信(陶芸家/百草主宰)を迎え、随所に陶芸作品を配置し、専用に焼き上げたタイルを床の仕上げとして埋め込むなど、まさに「ギャラリーのようなホテル」とした。

【ENSO ANGO麩屋町通Ⅱ】
本事業の中で最大の延床面積であり、1階の共用施設は、日本庭園、スポーツジム、畳サロン、ラウンジ、茶室や立札を配置し、「和」と調和したデザインにしている。客室平均24㎡とし、ツインルームでも余裕のある空間としている。アーティストは書家の樋口雅山房に依頼し、「無」「空」「心」の掛軸で日本文化を求めて来日するインバウンドを迎え入れる。

【ENSO ANGO富小路通Ⅰ】
世界でも共通概念の「食」における様々なスタイルを通して、交流やコミュニケーションに富んだホテルを目指している。ラウンジを兼ねた「オープンキッチン」や宿泊客が利用できる「ゲストキッチン」を共用部に配置し、運営側でも「食」に関するイベントを企画している。客室は平均18㎡とし、浴室を需要の高いシャワーのみに割り切ることで、滞在空間に余裕を持たせることができた。

【ENSO ANGO富小路通Ⅱ】
この棟は、今回のENSO ANGOシリーズ5棟における基幹店と位置付けている。全ての棟を集中制御できるシステム室を持つこの棟は、共用部にレストランとバーカウンター、ラウンジを配置し、中庭のシンボルツリーによりシリーズの代表とした印象を持たせた。デザイナーにアトリエ・オイ(スイス)を迎え、外国人が表現する日本というデザインコードで訪日旅行客にも受容れ易い日本を表現している。客室は平均22㎡とし、温かみのある木目調の内装でゆっくりとした時間を過ごすことができる。

【ENSO ANGO大和大路通Ⅰ】
祇園に近い立地を活かし、利便性が高く気軽に宿泊できるミニマルコンセプトの棟とした。客室平均13㎡でありながら二段ベッドを採用し、2名からでも宿泊可能な空間をつくることができた。共用部にはバーを設置し、アクティブなコミュニケーション型の旅行者でも満足できる場所を目指した。寺田尚樹(テラダモケイ)作の1/100スケール添景を各所にアートとして配し日本の細部までの繊細さを表現している。

事業成果

京都のホテルマーケットとしてはインバウンド需要が高く、安定期においては90%以上の高稼働率が見込まれる市況や、海外からの中長期滞在者をメインターゲットと捉え共用部の充実や関連する棟内施設を自由に利用できる形態を取り、他の競合施設との差別化を図ったことから、物件に対する評価も高く、売却に関して高利益を確保することができた。また、賃料固定としたリースバックにより運営上も高利益が期待できる。
事業計画について京都市長との会談を行った際には、街との共存できる形として歓迎する旨のコメントをいただいたことからも、人と人、行為と出来事が無限の可能性を秘める「完成形のない生きたホテル」として今後も拡張し発展し続けることができる事業であることを自負している。

物件概要

事業主名
現場住所
企画設計
施工者名
工事竣工

規模概要

敷地面積
延床面積
構造規模
住戸総数

戸建分譲住宅部門

中高層分譲住宅部門

企画・開発部門